この記事では、実際に病院で働く管理栄養士の仕事内容や1日の流れを紹介しています。
実際に精神科病院で働く管理栄養士のNさんにインタビューさせて頂きました!
- 就職先に迷っている
- 病院の管理栄養士のスケジュールが知りたい
- 精神科の栄養管理について知りたい
という方は、ぜひ参考にしてみてください。
このサイトでは、管理栄養士を目指す学生さんに向けて
・お役立ち情報
・就活の進め方
・国試対策
などの情報発信を行っています。
【精神科病院】管理栄養士のとある1日
病院の管理栄養士の仕事は、おもに臨床部門と給食部門とがあることを過去の記事で紹介しました。※
<臨床部門>
栄養管理計画書の作成、栄養指導など。病棟での業務が主
<給食部門>
調理や提供、片付けなど。厨房での業務が主
Nさんの働く病院では、給食部門業務は、ほとんど給食委託会社が担当しています。
そのため、Nさんの実際の業務は栄養事務業務が中心なのだそうです。
とある1日の実際のお仕事スケジュールを教えて頂きました。
仕事内容
- 献立チェック(委託会社が作成)
- 発注
- 検食
- 嗜好調査
- 各委員会出席
- 帳票類の作成
- 栄養管理計画書の作成
- 栄養指導
- 病棟カンファレンス
勤務スケジュール
8:45 出勤
9:00 メールチェック・帳票類記入
9:30 ミーティング(厨房関係)
9:35 献立チェック
12:00 休憩
13:00 栄養管理計画書作成
14:00 委員会出席
14:30 委員会議事録作成
15:00 食札振り分け
15:30 病棟カンファレンス
16:00 栄養管理計画書作成
17:30 帳票類記入
18:00 退勤
精神科病院で働くやりがいと大変さ
お仕事のやりがいは?
長期入院の患者さまが多いので、栄養状態が改善していくところを見れることです。
また、今の職場は他部署との連携が取りやすく、栄養課の意見もしっかり取り入れて貰えます。
お仕事で大変なことは?
- 管理栄養士2名で180床の患者様の栄養管理を行うこと
- 精神科に入院している患者さまには、暴れる方や会話が難しい患者様も少なくない。
精神科病棟では、病気の特性上、病棟での普段の様子を気軽に見にいくことも難しいです。
さらに180床の患者様に対して管理栄養士は2人。
管理栄養士1人当たりの仕事量も多く、
業務を円滑に行うためには、給食委託会社との連携が欠かせません。
精神科の栄養管理の内容は?
まず、精神疾患のほかに内科的な病(糖尿病・心疾患など)も患っておられる患者様は治療食の対応をします。(それ以外の方は常食対応)
Nさんが勤める精神科病院では、
入院患者の高齢化が進んでいて、持病を持った方が多いのが現状です。
また一般のほかの病院と同様、患者様の咀嚼嚥下状態に合わせて食事形態の調整も必要です。
基本の栄養管理は一般の病院と同じなのですね。
精神科ならではのフォローが必要になるのはどんな時ですか?
たとえば、統合失調症の患者様は食事をかきこんで詰まらせる事例があります。
かきこむことでむせると理解していないことが原因です。
かきこまないように食べて、と伝えても理解できない患者様もいらっしゃいます。
安全に食事をしてもらうためには、看護部やリハビリ課との協力が必須です。
また、気分障害の方は食欲不振を起こし低栄養になりやすい傾向もあります。
摂食障害の患者様には、ある程度食の趣向を取り入れて対応できるようにしていますが(麺食・パン食など)、なかには毎回食事を拒否する患者様もいらっしゃいます。
食べてもらうことが難しい状況も多々あるので、栄養補助食品を付加するなどして対応しています。
入院後の環境の変化で少しずつ食べられるようになって、今ではほぼ全量摂取できるようになった患者様もいらっしゃいます。
このように患者様の栄養状態が変化していくのは嬉しいことですね!
ワークライフバランスは取りやすい?
取りやすいと思います。
シフト制ですが、もう1人の管理栄養士(給食委託会社に在籍)と相談しながら休むことが出来ます。
毎日定時で退勤でき、残業はありません。
精神科病院での管理栄養士業務はどんな人に向いていると思う?
- 長期的に患者様の栄養管理をしたい人
- 自分のペースで仕事がしたい人
に向いていると思います。
管理栄養士2人で180床の患者様の栄養管理を行うのは大変ですが、
急性期の病院のように入退院の入れ替わりは激しくありません。
そのため、長期的に患者様に関わり、時間的な余裕を持って業務に取り組むことができます。
学生生活について
Nさんに、管理栄養士養成課程の学生生活の過ごし方について質問してみました。
学生生活でやって良かったことは?
- 一人暮らし
- 車の免許取得
- 家族旅行
- 色々な体験をする(アルバイト、ボランティア、ライブ観戦など)
- 色々なところへご飯を食べにいく
色々な体験ができるのは学生の特権です!
学生生活でやっておけば良かったと思うことは?
- お金の勉強
- 色々なご飯を作る
- 色々な髪色や髪型を試す
- 運動習慣をつける
管理栄養士を目指したきっかけ
管理栄養士を目指そうと決めたのは高校生の時です。
私が食事や栄養に興味を持っていたことから、管理栄養士養成課程に進んでみてはどうか、と母が提案してくれました。
栄養について興味を持ち始めたのはいつですか?
栄養について最初に興味を持ったのは小学生の頃です。
栄養士さんから受けた食育がきっかけでした。
私が通っていた小学校では学校内に調理室があり、日々の給食は給食センターではなく調理室で作られていました。
栄養に興味を持っていたので、よく給食の調理員さんと話していたのを覚えています。
管理栄養士を目指す学生さんにメッセージ
私は管理栄養士の仕事に就いて、「食事は患者さんの楽しみである」と肌で実感しています。
患者さんの中には、疾患や咀嚼嚥下状態などを理由に、やむを得ず治療食・キザミ食を食べなければいけない方もいらっしゃいます。
辛い治療やリハビリに取り組むなかで、食事は患者さんにとって数少ない楽しみの一つです。
そのため、行事食や旬の食材を取り入れ、季節を感じてもらえるよう努めています。
(特に入院生活・施設生活が長い方にとっては大切なことです。)
病院での食事提供では、色々な制限の中でも食事が楽しみだと患者さんに感じてもらえるような食事を提供して欲しいと思います。
また、管理栄養士は患者さんにとって、日頃から話しやすく相談しやすい存在であることも大切です。
日頃から積極的に患者さんとの関わりを持つように努めて欲しいと思います。
学生生活では、たくさん勉強して、たくさん遊んで、限りある時間を思いっきり満喫してください。
管理栄養士が今よりももっと存在感のある職業になるよう、私も頑張ります!
Nさん、ありがとうございました!